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2007年9月18日 (火)

上映作品:「野の花」

チェコにもかっぱがいる! という情報をきいたことがありますか。

「野の花」はチェコ版の河童(ヴォドニークといいます)を題材にした、神話を映像化した作品です。

チェコの有名な詩人カレル・ヤロミール・エルベンが作った詩がもとになっています。
19世紀の詩人で、民俗学や書誌学の研究をしながら、有名な詩「Kytice」を書きました。チェコ人なら学校で必ず習うような定番のおはなしです。

チェコでも節分にあたる日や、クリスマスなど季節ごとの行事がもちろんありますが、原作者のエルベンは、当時のチェコの古い民謡やおとぎばなしを集めていたため、まったく新しい文学を考え出すのではなく、自然とチェコの生活に即した詩で「Kytice」を書いたといわれます。

エルベン本人はお酒も飲まず(チェコ人なのに!)、真剣な紳士だったといわれています。
エルベンの詩はバラードと呼ばれるヨーロッパの詩の形式をふまえていて
2部に分かれる長い詩です。

前半は母が子へ注ぐ普遍的な愛情を歌い、後半は祖国がチェコ民族を見守る関係性を母子になぞらえてエルベンが創作したともとれる内容になっています。

「野の花」にも母、娘、そして娘の子である赤ちゃんが登場します。
そしてなにより、ヴォドニーク(vodnik)とよばれる水の精が出てきて、人間とかかわっていくことで物語ができています。

河童として紹介されるヴォドニークは水の精です。
日本の河童とは別物ですが、よく似ています。
チェコの河童は、

・柳の下に座っている
・月夜に靴を縫っている
・緑色の燕尾服、赤いズボンを着ている(赤いズボンは婚礼用)
・この世のものではない
・服や髪が濡れている
・長髪
・水かきがついている

という風情だそうです。
そんなチェコでのカッパの知名度を探るべく、
日本で一番チェコの絵本を取りそろえているチェドックザッカストアさんにご協力いただき、カッパを描いたものをいくつかピックアップしていただきました。

いくつか、のはずが、次から次へと出てくるチェコのヴォドニークの絵本。

(左)魚と仲の良さそうな、水に暮らすヴォドニークですね。
水かきはついていますが、ズボンは赤ではないようです。
(右)バイオリンを弾いています。
さすが、「すべてのチェコ人は音楽家である」という言いまわしがある国チェコです。濡れた感じがよく出ていますね。
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(左)こちらは明るい印象です。カッパも家族がいます。
やっぱり生活は水の中ですが、ちょうど寅さんのような格子柄のジャケットを着ています。
(右)シルクハットのような帽子をかぶったヴォドニークです。
人形がもとになっているのか、チェコアニメでよくみかけるような愛嬌のある顔をしています。
ズボンがボーダーですが、赤が入っています。婚礼間近なのかもしれません。
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……そして、さらに見つけたのが。
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こ、これは恐いですね。
水の中にしか棲めないような、緑一色の生き物です。緑といってもくすんだ緑です。
水かきがかろうじてなじみがある感じがしますが、それもどうなのか。
チェコの河童、ヴォドニークは神話のなかでの存在なので、 もちろん画家によって、ストーリーによって、いろいろな形で描かれています。

でも、これほど長くにわたって、いろいろな本に登場し、ルックスもさまざまながら水のなかで暮らしている存在がチェコにもいるというのが興味深いことですね。

映画「野の花」は、この世のものではないヴォドニークを、 現実の映像のなかに再現しようとした意欲作です。

それから、もう一つ、チェコでエルベンが集めていたフォークロアのなかで
「自分の結婚式の夢を見ると、悪いことが待っている」
「ヴォドニークは3回来る」という言い伝えがあるそうです。

映画のなかでヴォドニークはどんなことをするのでしょうか。

チェコに伝わる伝説の存在。 この映画を見ると、よりチェコの人々の知識や生活に近づけるよい機会になるのではないかと思います。

チェドックザッカストアさん、ありがとうございました!

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